現役の大学職員は日大アメフト問題をどうみたかー体育会クラブの立ち位置とはー

日大アメフト問題を考えるシリーズの第2弾です。
第1弾では、大学にありがちな責任逃れ体質の背景を紹介しました。
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今回は、日本の大学にとって体育会クラブはどのような存在か、についての紹介をしていきたいと思います。

 

 

クラブは大学の組織ではない!?

日大学長の会見ではアメフト部について、「任意団体ですから…。」というような発言がありました。
この一言に大学のクラブに対する認識が端的に表れています。

一般の人々は、日大アメフト部と言われると、“日本大学が管理監督する一組織”をイメージするかもしれません。
しかし、大学関係者の認識では“学生や指導者が自治的に活動を行う団体”という認識の方が強いです。

もちろん最終的な社会的責任を負うのは大学ですが、こうした認識があるため「まずはクラブ内で対応していただいて…。」という意識が働き、先に紹介した責任逃れの体質も相まって、対応が後手後手になってしまったのではと推察します。

 

大学クラブのヒラエルキー

それでは、大学はクラブの事をどのように認識しているのでしょうか。

大学には多種多様なクラブが存在しますが、全てを同じように見なしてはいません。
下の図をご覧ください。大学ではクラブをこのように“格付け”しています。

 

1.サークル

最下層は共通の目的をもった学生有志がその活動を行う団体としての設立を申請するものです。
これは俗に“サークル”と呼ばれ、比較的緩やかな繋がりと頻度で活動を行うことが一般的です。
指導者が存在することは稀で、ハードルが低い分、参加や脱退が容易なことから、近年の学生のほとんどはこのサークルに所属している印象です。

このサークルを設立するメリットとしては、団体として申請し、その活動を行う旨申告することで、万一その活動で怪我等が発生した際には保険の対象になるということです。
また、大学によっては施設利用の条件になっていたり、補助金の支給対象になることもあると思います。

 

2.公認クラブ

中間層に位置するのは、大学が公式に設置を認めている団体、俗に“公認クラブ”という立ち位置の団体です。
公認クラブは大学の教職員(正社員)が部長を担うことが一般的で、大学の公式HPにも掲載されることがあります。

体育会だけでなく、文化系、自治団体、学園祭実行委員など、大学との結びつきが強い団体はここに位置します。
サークルは仲間内の集まりが多く、卒業と同時に解散となるケースが多いですが、クラブは脈々と活動が受け継がれることが常で、歴史ある大学には創部何十年というクラブがたくさんあります。

多くの場合、活動の頻度がサークルより高く、参加のハードルが高い反面、活動に対する補助金はもちろん、施設の優先利用権や部室の貸与など、活動に対して大学からの支援が手厚くなることが特徴です。

 

3.強化クラブ

最後に、大学のクラブヒエラルキーの頂点に位置するのが、公認クラブの中で特別に優遇されているクラブ、通称“強化クラブ”です。

大学はクラブへの補助金の多くを父母会、後援会などの支援団体からの支援金に頼っています。
これら団体からの支援金は、公平性を最大限に担保するため、特定のクラブに優先的に補助金を支出することは、説明責任の観点から難しいのです。

しかし、大学にとっては広報的観点から特に支援したいクラブというものがあります。
その代表が、野球(東京六大学野球など)、サッカー、陸上競技部(駅伝)、そして大学スポーツの花形と言われるアメリカンフットボールです。

大学が力を入れたいと思うこれらクラブには、後援会などの支援金とは別に、大学から多額の支援金が支出されています。
通常、大学クラブの指導者は、他に仕事を持つ方、リタイアした方などにボランティアとして来てもらうことが一般的です。というのも、大学として指導者に給料を払う余裕はあまりないからです。
ところが、こういった特別な支援金が出されているクラブは、そのお金を使って優秀なコーチなどを独自に採用し、自チームの強化に繋げることができます。

反面、これらのチームには支出に見合った“結果”が求められます。
13人(そのうち6人は他に仕事を持つサンデーコーチらしいですが)ものコーチを擁する日大アメフト部は、どう考えてもこの強化クラブの位置にあるクラブだと思われます。
昨年、日本一になったという結果はあれど、継続的な支援金獲得のために、結果を出さなければならないプレッシャーもコーチ陣にはあったことと思います。

今回の日大アメフト問題が起きた一因はこの点にもあるのかもしれません。

 

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