FIREという生き方

何となく聞いていたFIREという言葉ですが、先日、たしか東洋経済でそれを実践されている方が紹介されており、色々と考えさせられる内容でしたので、記事にしてみたいと思います。ちなみにFIREはFinancial Independence, Retire Earlyの頭文字をとった造語で、つまるところ「経済的自由を手に入れて早期退職する」という生き方です。

もともとFireという単語は仕事をクビになる、というニュアンスだったそうですが、最近のミレニアム世代(2000年代に成人or社会人を迎える世代)にとっては新しい生き方を指すというのは中々面白いですね。賛否両論ある生き方ですが、アメリカでは一部でブームになっているそうで、今後、日本でもホットなワードになるかもしれません。

 

早期退職という概念は昔からあったもの

FIREと書くと何か全く新しい生き方みたいに聞こえますが、要は早期退職です。そして早期退職するなら、当然その後生きるためのお金が必要です。つまり早期退職の必要条件が経済的自由なわけです。

早期退職を目指すブログなどは、日本でもたくさんあります。節約に励み、多くは運用を通じて資産を増やしながら、退職後も生活できる不労所得あるいは十分な資産の獲得を目指すという意味では、FIREとほぼ同義と言えそうですが、違いはその程度と言えるでしょう。

冒頭紹介した記事では、30代の弁護士の方が、40歳で200万ドル(2億3千万円)貯めることを目標に貯蓄に励まれていましが、その節制ぶりはすさまじいものがあります。税引後の所得の70%を貯蓄に回すため、時には青果店で廃棄寸前の茶色いバナナを購入したり、娯楽も友人のアカウントで視聴するNetflixなど、お金を使わないことを徹底されています。家賃などの言及はあったか忘れましたが、恐らく親の家に住んでいるか、格安の家に住んでいるのでしょうね。

この方はもうすぐ達成できるとのことで、リタイア後はAirbnbで年に300日くらいは2万ドルで海外旅行をして、残りは友人宅を転々として過ごすことを描いておられるようでした。

もちろんこの方は極端なんでしょうが、早期リタイヤにかける熱意がすごいという点は共通していると思います。まさにFIREですね。

 

家族持ちにFIREは可能なのか

私も早期リタイヤについては関心が高いのですが、こうした記事あるいはブログでは、シングル(あるいはDINKS)で生きることが前提のものが多い気がしています。というか、子ども居たらそりゃ早期リタイアなんてしてられませんよね、という話なんでしょうけども…笑

なので、普通の中流家庭にある我々が早期リタイアは可能なのか、検討してみました。

◆前提条件
・勤務先の給与基準(退職金含む)が変わらない
・年金支給額と開始年齢が変わらない
・年間貯蓄額は200万円程度
・年金額は夫婦で240万円程度
・資産運用による収入等は考慮しない
・持ち家の売却費用等は考慮しない
・子ども3人は高校から私立、大学は文系の下宿
・老後の生活費は月18万円程度(家賃除く)

 

以上の極めて楽観的な検証の結果では、我が家では53歳が最速で退職できるタイミングでした。

53歳で退職金を含めて65歳までの必要生活費4,080万円+αが貯まり、65歳以降は年金手取り額内で生活すれば、何とかやっていけるという計算です(ちなみに、今すぐ退職しようと思えば1億9,000万円ほど必要との結果に…)。

ですが、実際はこんな危ない橋は渡れません笑

そもそも基盤となる給与水準はこれからかなりアヤシイ状況ですし、年金もそこまで期待できません。子どもが「医学部に入る!」とか言い出したら悲鳴をあげますし、そうでなくとも理系にいくだけでだいぶ計算が狂ってきます。他にも、子どもが就職できずに家に居残るケースもありそうです。その場合は生活費が追加で発生するので、早期リタイヤはまず無理そうです。子ども以外にも、老後にかかる自分や親の医療費なども発生するでしょうから、完全に、机上の空論でしょうね。

とはいえ、何かしら基準があれば、それに向けて修正しつつ頑張れるというものです。我が家の場合は、給与水準の減少は運用や妻のパートで補てん、子どもの大学費用が余計にかかる場合は奨学金を利用、55歳まで退職を伸ばす(退職金の割り増しと必要生活費の減少)などでの対応策を講ずることで、それなりに可能性のあるプランになりそうです。

まぁでも55歳をアーリーと呼ぶかは人それぞれですが…笑

書いていて思ったのは、自分以外に人が増えると、出費をコントロールできないというのが、家族持ちのFIREを難しくする最大の要因ということです。兄弟リスク(働かない高齢の兄弟の世話をしなければならないリスク)なんて言葉もありましたが、生活の安定性を考えるなら、家族もリスクと言えてしまうのかもしれません。

 

リスクヘッジ中心の選択で人生を楽しめるかどうかは人それぞれ

FIREに関する記事への言及は結構たくさんブログに書かれていて、「私もこれを見習う!!」という内容は少なく、多くはこういう結論になっているんじゃないかと思います。私もそうです笑

ミレニアム世代(私を含め)は、景気の良い時代をあんまり知りません(日本なんか特に)。なので、将来にどうしても悲観的にならざるを得なくなり、国も会社も自分を守ってはくれないから、自分(と家族)だけは生き残る!という感覚が強いのかもしれません。

ですが、リスクヘッジを選択するということは、リスクを回避することができる反面、リスクから得られる恩恵も得られないという事です。出費のコントロールのために生涯独身を貫くというのも選択としてはアリだと思いますが、家族と過ごす安らぎや子孫を残せたという生物としての満足感(親曰く、子どもが一人前になるともう死んでもいいなと思えるようになるらしいです)などは得られません。また、極端な節制のために貴重な20代、30代を(傍から見れば)棒に振るなんてとんでもないという人もいるでしょう。

仕事についてもそうです。今現在、仕事を楽しいと思えている人は、早期リタイアなんてする必要ないと思います。人生において仕事以上に面白いものはない、という考えの人もいますからね。ただ、今すぐに自分が情熱を注げる仕事(あえての表現)に踏み出す勇気がない人は、FIREを目指すことはアリだと思います。好きなことだけして生きていけるのが理想で、その環境も整ってはいるのですが、多くの人が実現できないからこその理想です。経済的自由を手に入れたあと、好きなことに存分に打ち込むというのが、固い選択肢ではあります。

 

私は家族持ちなので、極端なFIREは目指せませんが、早期(?)リタイアはしたいと思っています。現在の仕事に不満はあまりありませんが、満足度もそんなに高くありません。かといって、自分の好きなこと(ゲームとか)で生計を立てられるかというと、それも難しそうなので、粛々と現在の仕事を続けて、子どもの成長を見守ることが目標です。

家族リスクを抱えながらのFIREという生き方も、個人的には、いいとこ取りでアリだと思っています。

 

 

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