私大職員の待遇を調べてみた:東京理科大学 編

夏目漱石「坊っちゃん」にも登場する東京理科大学について調べてみました。
私は文系だったのであまり関心がなく、現役の時は全くノーマークの大学でしたが、私立大学で唯一、自然科学部門のノーベル賞を受賞するなど抜群の実績と知名度を誇るトップクラスの私大の一つです。
ちなみに、東京理科大学には経営学部がありますが、「なんで理系の大学に経営学部?」と思われた方は、以下の記事をご覧になられるとその疑問が氷解すると思います。
(参考 日本人の的外れな「リベラルアーツ論」リベラルアーツとは何か(上)東洋経済ONLINE記事)

そんな東京理科大学、職員の待遇はどの程度なのでしょうか。

 

 

独断と偏見による総合評価

休日 給与水準 将来性 総合評価
A

・×は1点、△は2点、○は3点、◎は4点。
・合計11-12点→S評価、9-10点→A評価、7-8点→B評価、5-6点→C評価、3-4点→D評価。
・その他様々な理由で増減あり。

以下で詳しく見ていきます。

 

基本データ

大学名 東京理科大学
大学公式HP http://www.tus.ac.jp/
学部学生数 16,667人(男12,474・女3,893)
専任教職員数 1,229人(教員700名・職員529名)
ST比・SA比 ST比 1:24 SA比 1:32
人件費率 48.6%
資産額 約1,761億円(内、流動資産20億円、特定資産411億)
負債額 約321億円(内、借入金等179億円)
寄付金等収入額 約4億7,746万円
私立大学等経常費補助金額 約28億6,833万円

・東京理科大学ホームページ「情報公表」より。(2017年5月1日時点)
・財務情報はすべて大学院を含んだデータ。
・寄付金額は2017年度事業活動収支計算書より。
・私立大学等経常費補助金額は私学事業団ホームページより。(平成29年度分)

 

職員待遇に関するデータ

年間休日日数 120日以上(土日祝、年末年始・夏期休暇)
勤務時間 8:30-17:00(週実働37.5時間)
22歳(学部新卒)年収 約372万円(月給22万1760円、住宅手当27,000円、賞与4.4ヵ月程度)
24歳(修士新卒)予想年収 約431万円(月給24万3,120円程度、住宅手当27,000円、賞与4.4ヵ月程度)
30歳予想年収(配偶者1・子1) 約558万円(月給30万3,800円程度、各種手当43,500円程度、賞与4.4ヵ月程度)
35歳予想年収(配偶者1・子1) 約629万円(月給34万80円程度、各種手当43,500円程度、賞与4.4ヵ月程度)

・マイナビ2020、人事院ホームページ等より。
赤字は推測です。計算ロジックはコメントをご確認ください。

 

競争力に関するデータ

偏差値 69~65 ※二部除く
入学定員充足率 1.00
収容定員充足率 1.13
退学率 7.2%~1.0% ※二部除く
就職率 91.4%(就職1,818人/(卒業3,779人-進学1,791人)
有名企業就職率 34.6%(全体11位・私学5位)

・偏差値は進研模試ホームページより。
・入学定員および収容定員充足率、就職率は東京理科大学ホームページ「情報公表」より。
・退学率は読売教育ネットワーク「大学の実力」より。(学部単位)
・有名企業就職率は大学通信「「有名企業への就職率が高い大学」トップ200」より。

 

コメント

東京理科大も年収に関するデータがほとんどヒットしませんでしたが、国家公務員に準ずるという情報がちらほら出てきました。

 

基本給と賞与、各種手当について

マイナビ2020によると学部卒の月給は首都圏勤務で221,760円、首都圏以外で184,800円となっていますが、これの算出については、国家公務員の地域手当(東京都特別区の場合)の1.2倍とピタリと一致します。首都圏以外の初月給184,800円は、国家公務員行政職2級職1号俸の185,800円とほぼ一致するので、国家公務員に準ずるというのは正しそうですね。

ということで、上記の予想年収の計算については、国家公務員の待遇を参考にしています。
住宅手当は東京の物価を考慮して最高額の27,000円、扶養手当は、配偶者が6,500円、子どもが10,000円、賞与は4.4倍(ただし住宅手当は算定に含めず)としています。

国家公務員の俸給表は公表されていますが、どの年齢に何号給が対応しているかはよく分かりませんでした。過去の人事院データで、院卒の初任給は2級職11号俸となっていましたので、上記の計算例ではこれを当てはめ、年齢が上がるごとに5号給加算されると仮定して算出しています(実際には、初月給で上記の通り1,000円の差があったので、これを差し引いています)。

国家公務員に準ずるのであれば、役職がつかなければ昇給も緩やかになっていきますので、基本給は37万弱で頭打ちとなる可能性があります。そうすると、ヒラ職員のモデル(配偶者1・子ども2)最高年収は700万程度なってしまうかもしれません。

どの程度当てはまるかは分かりませんが、口コミサイトなどを見ると概ねこの水準のようですから、高待遇の私大に比べると少し給与面では劣る結果となりました。待遇の良い大学はヒラでもかなりの年収に成り得るのに対し、東京理科大では、役職を目指さないと高待遇は期待できないかもしれません。ただし、裏を返せば国家公務員給与が大幅に減らない限りは、給与カットはあまりなさそう、と言えるかもしれませんね。

 

将来性・その他について

このように待遇を抑えている分、ST比/SA比は低い水準ですし、その結果として就職の率や質も素晴らしいものがあります。また、理系の大学でこの退学率もかなり低い印象があります。

既に高い社会的評価もあり、理科系大学という政府が後押しするアイデンティティもありますから、大学淘汰の時代も生き残ることは間違いないと思います。

 

以上から、給与面はやや低めではあるものの、高い将来性と待遇維持の安定性が見込めることから、A評価としました。

 

*上記評価等は個人的価値観に基づく評価付けであり、大学自体の優劣を論じるものではありません。

 

 

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