私大職員の待遇を調べてみた:法政大学 編

マーチ最後は法政大学です。法政大学は、看板学部である法学部以外はいまいちぱっとしない印象を持たれていることが多いようです。そのため、マーチの中でも偏差値的には低い水準に甘んじることも多いようですね。とはいえ、ここ最近入学志願者数では近畿大学に次ぐ2位、首都圏ではTOPの数値を誇っているのは評価できます。正規分布のグラフを想像すればわかるように、学力が中くらいの学生は最も多く、その多くがより手が届きやすく、よりブランド力のある大学へと進むことを考えれば、行き着く先の大学の候補の一つがこちらと言えるのかもしれませんね。

そんな法政大学ですが、職員の待遇はどうなのでしょうか。

 

独断と偏見による総合評価

休日 給与水準 将来性 総合評価
A

・×は1点、△は2点、○は3点、◎は4点。
・合計11-12点→S評価、9-10点→A評価、7-8点→B評価、5-6点→C評価、3-4点→D評価。
・その他様々な理由で増減あり。

以下で詳しく見ていきます。

 

基本データ

大学名 法政大学
大学公式HP http://www.hosei.ac.jp/
学部学生数 29,034人
専任教職員数 1,097人(教員670名・職員427名)
ST比・SA比 ST比 1:43 SA比 1:67
人件費率 53.3%
資産額 約2,197億円(内、流動資産238億円、特定資産439億円)
負債額 約304億円(内、借入金等92億円)
寄付金等収入額 約3億8,616万円
私立大学等経常費補助金額 約18億5,569万円(全体34位)

・法政大学ホームページ「情報公表」より。
・寄付金額は2017年度事業活動収支計算書より。
・私立大学等経常費補助金額は私学事業団ホームページより。(平成29年度分)

 

職員待遇に関するデータ

年間休日日数 ??日程度(日曜・祝日 土曜休暇  夏季一斉休業 年末年始)
勤務時間 9:00-17:00 / 9:00-12:00(週実働35‐38時間)
22歳(学部新卒)年収 約374万円(月給19万円、住宅手当18,200円、賞与6.0ヵ月
24歳(修士新卒)年収 約432万円(月給21万2,000円、住宅手当18,200円、賞与6.0ヶ月
30歳モデル年収※ 約635万円(月給27万8,000円、住宅手当25,200円、家族手当30,000円、勤続手当20,000円、賞与6.0ヵ月
35歳モデル年収 約814万円
45歳モデル年収 約1,033万円

・各種就職、転職サイト等より。
赤字は推測です。詳しくはコメントを参照してください。
・※30歳モデル年収は、世帯主、配偶者+子ども1を想定したケース。

 

競争力に関するデータ

偏差値 74~62
入学定員充足率 1.00
収容定員充足率 1.13
初年次退学率 1.45%
就職率 91.6%(就職5,988人/(卒業7,157人-進学620人)
有名企業就職率 21.8%(全体44位・私学23位)/昨年23.5%(全体44位・私学22位)

・偏差値は進研模試ホームページより。
・入学定員および収容定員充足率、退学・就職率は法政大学ホームページ「情報公表」より算出。
・有名企業就職率は大学通信「「有名企業への就職率が高い大学」ランキング」より

 

コメント

3月1日となり、20卒向けの採用情報が解禁となりました。法政大学でもマイナビを通じて新卒採用を行っていますので、興味のある方は応募してみるといいかもしれません。

 

基本給と賞与について

法政大学職員の基本給は22歳学部新卒で190,000円、24歳修士新卒で212,000円となっています。これは、MARCHの中では最低レベルです。とはいえ、世間的には決して見劣りする水準ではありません。

大学業界では学位によって給与テーブルを変えることは稀なため、学部新卒と院新卒の差額は年齢給(2歳分)の差と考えられます。昇給額は11,000円/月程度で、%にすると6%弱の昇給なので一般的には条件はよいのですが、他の高待遇の大学は軒並み15,000円(7~8%)程度の昇給があることを考えると控えめと言えます。

昇給額がこのペースを維持すると仮定すると、30歳基本給は278,000円、35歳では333,000円程度となりそうです。賞与については確からしいデータを見つけることができませんでしたが、MARCHの一角として、概ね6ヵ月程度はあるものと推察します。おかしく感じるかもしれませんが、大学業界では給料を決める際、同レベル=同偏差値帯の給与水準は結構意識しますので、ある程度の目安には使えます。

 

各種手当について

各種手当として、住宅手当(非世帯主は18,200円)、家族手当、勤続手当が付与されるようです。

法政大学では基本給や昇給ペースが緩やかなものの、職員の平均年収は985万円(平均42歳)という数値がネット上に転がっており、決して低くありません。ということは、公務員よろしく各種手当でずんずんと給与がかさ増しされている可能性が高そうですね。

組合資料の35歳時点平均年収は814万円となっていますが、35歳の基本給予想333,000円のみでは、年収は600万円ほどにしかなりません。35歳のモデル年収は、配偶者+子ども2の計算が多いので、これに世帯主という条件を付けて差額の内訳を予想してみます。

まず、住宅手当は世帯主と非世帯主で金額を変える大学は多いものの、劇的な差はつけないところが多いです。そこで、世帯主の住宅手当を25,200円と仮定します。次に家族手当ですが、住宅手当の水準から配偶者20,000円、子ども10,000円としてみます。これらは賞与の算定基礎にもなることが多いので、合計を18倍してみると、年収は711万円ほどになります。

最後は勤続手当ですが、これはそこまで大きくないケースが多いです。22歳から35歳までで10年+αであれば、30,000円程度ではないかなと思います。これも賞与に入れるとすると、年収は765万円ほどになります。

モデル年収との差額は50万円ほどになりますが、これは課長補佐レベルの管理職手当がついていると考えれば、まぁ妥当な水準に落ち着くかなと思います。賞与の一律額が支給されている可能性もありますし、もしかしたら勤続手当を合わせてヒラでモデル年収の水準である可能性もありますね。

この手の記事では30歳時点の年収を予測していますが、勤続手当がどうも予測が難しかったので、とりあえず20,000円としています。割とアバウトな金額を充てていますが、こんな私でも服務・給与規程などを作った経験があり、他大学の水準はそこそこ調べていますので、そこまで乖離した水準ではないとも思います。

 

休日・勤務時間について

勤務時間については、平日は9時17時の実質7時間勤務である点は高ポイントですが、半日とはいえ土曜出勤があることはマイナスポイントですね。マイナビでも完全週休二日でないことを強調していますので、土曜は月2回程度の出勤は見込む必要がありそうです。

とは言え、今年度のGWは4月29日から5月6日の9連休、夏期休業は8月11日から19日までの9連休、年末年始休業は12月27日から1月7日までの12連休と長く、オンオフはしっかりしてそうですね。

法政大学でも2017年から100分授業が導入され、祝日の授業が年3回程度となっているようで、その分職員も休める機会が増えているのも嬉しいです(初めて読む方向けに断わっておくと、大学では授業時間確保のために祝日に授業をすることが多く、そのために職員も出勤になるケースが多いです)。

 

将来性・その他について

法政大学は志願者で関東圏ナンバーワンになっており、現在、東京圏で最も選ばれている大学です。志願者は最も大事な大学経営のバローメータですので、この点では今のところ、問題ないと言えるでしょう。田中総長は法政の地道な努力と景気回復によって選ばれるようになったことが勝因と述べられていますが、個人的には大都市圏の大規模大学の定員厳格化とそれに伴う学生の滑り止め受験の増加が理由だと思っています。

18歳人口はいよいよ2018年の壁を越え急減期に入っていますが、総志願者は増え続けています。これは、一人当たりの志願数が増えているからに他ならず、その背景には文科省の定員厳格化の影響があります。この恩恵を一番受けているのが都市圏の中規模・中難度の大学で、少し調べればわかるように、毎年+50%というレベルで志願者が増え続けています。反対に、ある程度レベルの高い大学では志願者は横ばいか逆に減少している傾向が見られます。

法政大学は、現在、上位校の競争激化を避け、ある程度レベルを落とした大学も受けておきたい…とはいえ、上位校から下げすぎるのもいやだ! という層と、中難度校が関の山の学力だけど、もしかしたらワンチャンで受かるかもしれないから記念で受けてみよう…!という層が混在していると考えられます。これは、法政大学が中難度校に近いからこそ起きている現象ではないかと、個人的には考えています。

相対的に見れば全く問題ないと言えますが、同じMARCHレベルでも志願者が横這い~減少している大学があることを考えれば、立ち位置的には下位にあるとみていいと思います。

 

以上、総合的に高い評価ではありますが、土曜勤務がマイナス要素なため、A評価としました。

 

*上記評価等は個人的価値観に基づく評価付けであり、大学自体の優劣を論じるものではありません。

 

 

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