私大職員の待遇を調べてみた:関西学院大学 編

関西圏の大学2校目は、日本大学とのいざこざで話題になった関西学院大学です。「かんさいがくいん」ではありません。「かんせいがくいん」です。もっと言えば、「くゎんせいがくいん」が正確な読み方だそうです。
関学といえばそのキャンパスの美しさが有名で、映画「阪急電車 片道15分の奇跡」の舞台にもなっています。この映画は私も見ましたが、”人生の機微”という言葉が度々聞かれるのが印象的でした(容易には察せられない微妙な事情ということらしいですよ)。

話変わって、日本大学がらみでいえば、危機管理のお手本ともなるような対応をしたのも関学です。2003年に関学生が広島平和記念公園の折り鶴を放火した事件では、迅速な責任者の謝罪と教職員や学生が団結した9万羽を超える折り鶴の提供(この間約1週間)、そして該当学生を退学処分とせずに、教育的配慮を見せたという点で素晴らしい対応だったと言えるでしょう。
そんな関西学院大学、職員の待遇はどの程度なのでしょうか。

 

独断と偏見による総合評価

休日 給与水準 将来性 総合評価
A

・×は1点、△は2点、○は3点、◎は4点。
・合計11-12点→S評価、9-10点→A評価、7-8点→B評価、5-6点→C評価、3-4点→D評価。
・その他様々な理由で増減あり。

以下で詳しく見ていきます。

 

基本データ

大学名 関西学院大学
大学公式HP https://www.kwansei.ac.jp/
学部学生数 24,421人(男12,378・女12,043)
専任教職員数 1,097人(教員750名・職員347名)
ST比・SA比 ST比 1:33 SA比 1:70
人件費率 54.5%
資産額 約1,805億円(内、流動資産230億円、特定資産456億)
負債額 約244億円(内、借入金等68億円)
寄付金等収入額 約3億2,835万円
私立大学等経常費補助金額 約27億6,872万円(全体18位)

・関西学院大学ホームページ「情報の公表」より。(2018年5月1日時点)
・寄付金額は2017年度事業活動収支計算書より。
・私立大学等経常費補助金額は私学事業団ホームページより。(平成29年度分)

 

職員待遇に関するデータ

年間休日日数 104日以上(日祝、土曜隔週、年末年始・夏期休暇)
勤務時間 8:50-16:50 / 8:50-12:20(土)(週実働35-38時間)
22歳(学部新卒)年収 約417万円(月給20万400円、住宅手当25,000円?、賞与6.3ヵ月、個人研修費45,000円/年)
30歳予想年収 約685万円(月給32万1600円、住宅手当25,000円?扶養手当25,000円?、賞与6.3ヵ月、個人研修費45,000円/年)
35歳モデル年収 約831万円
45歳モデル年収 約961万円

・関西学院大学ホームページ、リクナビ2019、各種組合データ等より。
・30歳予想年収は、配偶者+子ども1のケース。
赤字は推測です。計算ロジックはコメントをご確認ください。

 

競争力に関するデータ

偏差値 73~60
入学定員充足率 0.98
収容定員充足率 1.02
退学率 6.3%~1.3%
就職率 91.6%(就職4,515人/(卒業5,231人-進学301人)
有名企業就職率 28.4%(全体26位・私学13位)

・偏差値は進研模試ホームページより。
・入学定員および収容定員充足率、就職率は関西学院大学ホームページ「情報の公表」より。
・退学率は読売教育ネットワーク「大学の実力」より。(学部単位)
・有名企業就職率は大学通信「「有名企業への就職率が高い大学」トップ200」より。

 

コメント

関西学院大学は、初任給、30歳(企業での経験あり)の給与は公表されていましたので、この数値は固いものと思います。ちなみに、大学では転職者の給与決定を行う際、経験や能力を査定して決めるとなっていますが、ほとんどが”勤務年数のみ”で判断されると思います。大学院も勤務年数と同等のカウントされることが多いので、大学院生で研究職には進まないという方にもおすすめの職場かもしれませんね。

余談ですが、院まで出て大学職員?と思わる方もいらっしゃるかもしれませんが、アメリカの大学などでは、職員の管理職以上は修士以上の学位が必須になっているところも多いです。日本でも大学職員は単なる事務屋ではなくなりつつあり、やりがいと責任の増大がありつつも、それに対応できない職員が多いため、特定の”できる”個人に業務が集中しています。そして、それが正当に評価されない給与体系であることが常で、多くの中間管理職以上で葛藤としがらみが蔓延している状況です。

 

基本給と賞与、各種手当について

話を戻して給与水準ですが、さすが関関同立と呼ばれる関西トップグループの私大だけあって、待遇もトップクラスです。30歳の給与は、基本給が321,600円となっていましたので、22歳初任給の200,400円から計算すると、15,000円ずつ昇給している計算になります。仮に35歳までこのペースで昇給するならば、基本給は39万円程度になり、これに18.3(12ヶ月+賞与6.3ヵ月)をかけると、714万円ほどとなります。研修費を考慮するとモデル年収との差は約110万円ですが、これは35歳時点モデル年収は、配偶者+子ども2で計算されることが多いため、これら扶養手当と、住宅手当が含まれていると考えられます。

扶養手当や住宅手当は賞与の算定基礎になることが多いので、110万円を18.3で除すと月当たりの手当額は、約60,000円と推計できます。住宅手当が一律25,000、配偶者が15,000円、子どもが一人10,000円とすると計算が合うでしょうか。もちろん、大学の賞与には一律額があることも多いので、その場合は手当額がもう少し低くなっている可能性もあります。いずれにせよ、私学の中でもトップクラスの高待遇であることは間違いありませんね。

 

休日・将来性・その他について

ただ、関学は半日とはいえ、土曜日が隔週で出勤であることがマイナスポイントです。年間休日日数は土日(78日程度)+祝日16日程度+αとなります。ネット上で見られる過去の事務室の閉室アナウンスでは、夏季は1週間強、年末年始は10日強のお休みがあるようですので、祝日の振替が多少はあるとは思いますが、少なくとも10日弱の休暇はありそうですね。それに加えて盛夏休暇という、所謂追加で取得可能な夏季限定の休暇があるようですが、これを加えても一般的な優良企業の水準である、125日程度には届かない感じでしょうか。

将来性を示す各種データは全く問題ありません。退学率の低さはさすがといったところですし、実就職率もかなり高いです。有名企業就職率は、同志社に次ぐ2位ですし、質の方も問題ありません。入学定員超過率を絞ってるのが少々気になりますが、多分これは新学部を作るための調整ということでしょうか。聖和大学の合併などで世間を賑わせた関学ですが、まだまだ攻めの経営を続けるのかもしれません。

 

以上から、かなり高評価ではあるものの、休日日数が低い点を考慮し、A評価としました。

 

*上記評価等は個人的価値観に基づく評価付けであり、大学自体の優劣を論じるものではありません。

 

 

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