私の育休エピソード~育休取得を伝えた時の周りの反応~

私は日本人男性では今は珍しい、長期(1年)の育休取得経験があります。もちろん、長期はおろか育休取得者自体が少数派ですので、周囲の反応は様々でした。

ということで、これから育休に関するエピソードを少しづつ書いていきたいと思います。少しでも育休取得を検討している方の参考になれば幸いです。

 

職場の反応

育休取得をしたい旨については、書面にした上で面談の機会を設けてもらい、取得希望の2ヵ月前に直属の上司に伝えました。その際の反応は「おぅ…(しばし書面を熟読)…分かりました」という淡々としたものでした。その後は、私が担当している仕事は他の人と分担してやるから心配しなくていいこと、育休取得者が少ない(まだ過去に3人、長期は0)ため、ファーストペンギンとして組織のためにもなるんじゃないか、ということなどの話がありました。

同僚には1ヵ月ほど前に会議の場で伝える機会がありましたが、概ね好意的な反応だったと思います。育休取得については、自分が考えている以上に周りは肯定的に捉えている、というニュース男性育休、忖度が阻む? 「周りは否定」と勘違い 日本経済新聞へのリンク)を見たことがあります。男性は、周りは「負担が増えるじゃないか」とか「自分だけ休みやがって」などと考えるに違いないと決めつけ育休取得を断念する人が多いそうですが、実際は露骨に嫌がる人なんてそうそういません。

実は男性より女性の方が否定的な見方が多い、という調査結果も見たことがありましたが、これはなんとなく分かります。女性(特に既婚の子持ちの方)は、「ふーん、奥さん羨ましい」みたいな薄い反応が多かったのですが、男性陣は「俺も取りたい!」などと関心を持ってくださる方が多かったです。その分、話も弾んで引継ぎもしやすく、やりやすかったのを覚えています。

男女の性別を問わず、自分が苦労したから相手が楽するのは許せない、という人が一定数いるのは事実だと思っています。現に、PTAなどの改革(負担を減らす)案が否決された時に「自分たちは苦労したのに次の人から楽するのはズルい」というのが主な理由だったことに愕然とした、というニュースがあったのを覚えています。特に、女性は共感の生き物だと思っていますので、「大変だった」という苦労を共有することが必要だと考える方が多いのかもしれません。ですので、育休についても「自分が子どもを産んだときは旦那は休んでくれなかったのに、〇〇さんの奥さんは楽できてズルい」という心理が働いて薄い反応になった…かもしれません。

 

友人の反応

大学時代からの仲の良い友人の反応は総じて「てめぇ羨ましすぎるだろ!」というものでした(笑)

例えるなら、映画「STAND BY ME ドラえもん」で、のびたの結婚前夜に飲み会をしている際、ジャイアンが「みんなのアイドルだったしずかちゃんと結婚するなんて…。のびたの癖にー!うらやましすぎるだろぉ!」と、のびたの耳を引っ張るシーン、あんな感じです。

仕事だけの関係である職場の人とはまた違った反応だったのが面白かったですね。恐らく、長いこと休める(もちろん育休はただの休暇じゃないですよ!この辺は理解されないことが多いです)なんて羨ましい!というのが共通の感覚なんだと思います。

損得なく付き合っている友人の場合はそれをストレートに好意的に表現しているのに対し、職場の人は所詮仕事上の関係だけなので、打算的な反応になるのでしょうね。

 

家族の反応

妻は育休取得に大賛成してくれました。

これも人によっては職場での地位低下や収入の減少などを心配して反対するケースがあると聞いていたので、お金については心配いらない(育児休業給付金でやっていける)こと、職場での地位低下(周りの評価が下がること)はあるかもしれないが、たった1年のブランクで能力が下がれば自分が無能なだけだし、能力は下がっていないのに評価が下がれば、その程度の組織だったということ、などと説明して理解してもらいました。

もっとも我が家の場合は、そんな小難しいことはどうでもよいらしく、単純に3人の子どもを一人で見るのは大変!という切羽詰まった事情だったからかもしれませんが…笑

両家の家族も概ね好意的な反応でしたが、それぞれの母親は「ちゃんと復帰してね」という多少の心配とけん制もいただきました。やはり、女性の方が男性の育休取得に昭和的(平成的?)な価値観を引きずっているのかもしれませんね。

 

まとめ

育休取得に関する反応について、職場・友人・家族の反応をまとめてみましたが、いかがだったでしょうか。

最初に(特に職場で)言い出すのは勇気がいりますが、一旦取得すると決めてしまえば、相手はどんな反応するだろうと楽しみながら伝えれるレベルになってきたのを覚えています笑

上司との面談のなかで「ファーストペンギンになれていいね」というものがあったのですが、あれは半分正解で半分違う気もしています。確かに、最初に飛び込むペンギンがいれば、続々と続くペンギンが増えるという意味で、育休取得の後押しになるという点では正解です。

ただ、ファーストペンギンには、海には天敵であるシャチなどがいるかもしれないが、他に仲間のペンギンがいないから獲物も豊富にあって恩恵にあずかれるという、誰もやっていないことに挑戦すると得する可能性があるという意味もあります。

育休の場合は、ファーストペンギンになっても給付金が増えるわけでも、休業期間が延びるわけでもありません。なので、先行者特権というものは一切ありません。さらにファーストペンギンの教えと違うことは、後続のペンギンは危険がないことが分かってから飛び込むからリスクは少ないが、他のペンギンに獲物を取られて食べられない=遅れをとると損をする可能性があるのに対し、育休の場合は獲物(育休で得られるメリット)は一切減りませんので、後続であればあるほど有利と言えるかもしれません。

ただ、育児休業を取得できるタイミングというのは限られています。私の場合は結局3人目しか取れませんでしたが、今思えば全員とってもよかったなと思っています。誰かが取得してからならとりやすいという視点ではなくて、家族ファーストで考えれば、海に飛び込むかどうかは“周りのペンギン”に左右されることなく判断できるのではないでしょうか。そこには豊富な獲物が確実に待っているのですからね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA