関関同立のラストは、関西圏でトップの待遇と目される関西大学です。偏差値面ではこの中で一番評価が低い印象ですが、その分幅広く多くの受験生がチャレンジするため志願者数はトップ…と思っていましたが、最近は立命館の方が多いんですね。同志社や関学のようにミッション系で語学に強い印象があったり、立命館アジア太平洋大学のようなアジア圏との特に強い国際交流のイメージのある立命館に比べ、どこかパッとしない印象のある関大ですが、東洋経済の「高校生が志願したい大学ランキング」では、関西圏で11年連続で1位をおさめています。
特徴に乏しいことは、必ずしもマイナスばかりではなく、将来の決まっていない高校生にとっては、進路選択の足かせになりにくいという利点にもなります。特に関大は近畿大学というマンモス大学の上位格として、受験にチャレンジする人も多いでしょう。一時、近畿大学のコバンザメ戦法(入試タイミングを合わせたり、学部系統を合わせるなど)で行く!と豪語した大学がありましたが、関大の場合は近大が伸びれば伸びるほど、もうワンランク上にという学生の支持を集めることができるのかもしれません。そんな関西大学、職員の待遇はどの程度なのでしょうか。
独断と偏見による総合評価
休日 | 給与水準 | 将来性 | 総合評価 |
◎ | ◎ | ◎ | S |
・×は1点、△は2点、○は3点、◎は4点。
・合計11-12点→S評価、9-10点→A評価、7-8点→B評価、5-6点→C評価、3-4点→D評価。
・その他様々な理由で増減あり。
以下で詳しく見ていきます。
基本データ
大学名 | 関西大学 |
大学公式HP | http://www.kansai-u.ac.jp/index.html |
学部学生数 | 28,872人(男17,147・女11,725) |
専任教職員数 | 1,160人(教員696名・職員464名) |
ST比・SA比 | ST比 1:41 SA比 1:62 |
人件費率 | 50.3% |
資産額 | 約2,257億円(内、流動資産166億円、特定資産880億) |
負債額 | 約306億円(内、借入金等82億円) |
寄付金等収入額 | 約4億7000万円 |
私立大学等経常費補助金額 | 約32億6,977万円(全体11位) |
・関西大学ホームページ「大学紹介」より。
・寄付金額は2017年度事業活動収支計算書より。
・私立大学等経常費補助金額は私学事業団ホームページより。(平成29年度分)
職員待遇に関するデータ
年間休日日数 | 125日(週休二日制 夏季・冬季休暇)※2017年度実績 |
勤務時間 | 9:00-17:00 (週実働35.0時間) |
22歳(学部新卒)年収 | 約420万円(月給19万4100円、住宅手当19,500円、賞与6.7ヵ月+20万6000円) |
30歳予想年収 | 約717万円(月給32万2100円?、扶養手当28,000円、住宅手当22,500円、賞与6.7ヵ月+20万6000円) |
35歳モデル年収 | 約883万円 |
45歳モデル年収 | 約1,250万円 |
・関西大学ホームページ、各種組合データ等より。
・30歳予想年収は、配偶者+子ども1のケース。
・赤字は推測です。計算ロジックはコメントをご確認ください。
競争力に関するデータ
偏差値 | 70~61 |
入学定員充足率 | 1.04 |
収容定員充足率 | 1.10 |
退学率 | 8.0%~1.3% |
就職率 | 90.7%(就職5,479人/(卒業6,588人-進学548人) |
有名企業就職率 | 21.0%(全体51位・私学27位) |
・偏差値は進研模試ホームページより。
・入学定員および収容定員充足率、就職率は関西大学ホームページ「大学紹介」より。
・退学率は読売教育ネットワーク「大学の実力」より。(学部単位)
・有名企業就職率は大学通信「「有名企業への就職率が高い大学」トップ200」より。
コメント
関西大学は45歳で1,250万!という凄まじいインパクトがあり、関西トップの待遇と思っていましたが、調べてみるとなるほどと思わされる結果となりました。
基本給と賞与、各種手当について
驚くべきは賞与倍率の高さで、6.7ヵ月+20万6,000円という訴訟を起こした立命館も顔負けの数値を誇っています。住宅手当は、単身の世帯主で19,500円、扶養者がいれば22,500円、非世帯主は6,000円ということです。また、扶養手当は配偶者が19,500円、子は人数に限らず一人8,500円という数値が出てきました。ただ、いずれも少し古いデータなので、現在は変わっている可能性があります。
今年は中途採用が終わっていたため、転職者の月収例がなく、基本給は推測するほかありません。幸いなことに、関西大学の30代の専任教員は18,000円/年ほどのペースで昇給してくという情報があったので、職員はやや減らした16,000円/年のペースで昇給すると仮定してみました。余談ですが、大学では教員と職員の平等は謳っていても、給与面では格差があります。すなわち、年齢・役職等の立場が同じ教職員がいた場合、必ず教員が年収が高くなるように設計されています。とはいえ、露骨な差は是正される傾向があるので、1割減程度を目途に見ておくといいと思います。
16,000円の昇給と仮定すると、30歳時点の基本給は32万2,100円、35歳で40万2,100円、45歳で48万2,100円…となりますが、大抵は昇給額は減少していくもので、この通り昇給することはまずないと思われます。ですが、そうすると45歳で1,250万は、どう考えても役職手当が入らないと難しい数値であることに気づきます。
これまでモデル年収は役職無しで計算されているものとばかり思っていましたが、大学によって違うのか、それとも35歳は課長補佐、45歳は課長くらいを基準にしたモデル年収なのかもしれませんね。そうなるとこれまでの推計も少し修正する必要がありそうで、ちょっと複雑な気分です…笑
休日・将来性・その他について
とはいえ、休日面・給与面で高待遇であることは確かで、関関同立の一角として知名度・志望度ともにバツグンで、安定した将来設計が見込めます。
高待遇の秘訣は恐らく専任教員が少ないことで、任期制の教員ポストを増やした恩恵を受けられていると言えるでしょうか。ただ、中長期計画であるKandai vision 150では、教員ポストを増やす必要性と学生数の減少を視野に、36億円相当のコストカットの必要性が示唆されています。専任教職員の人件費で半分賄うとすると、一人頭100万円くらいの給与減になりますが、100万減っても45歳で1,150万なら、十分…ではないですかね笑
以上から、非の打ち所がない、かなりの高評価なため、S評価としました。
*上記評価等は個人的価値観に基づく評価付けであり、大学自体の優劣を論じるものではありません。
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