これまで大学職員の休日や残業、給与に関する記事をいくつか書いてきましたが、大学職員(特に私大)はかなりホワイトな職場環境にあり、そこで働く私たちもそのことを自覚しています。しかし、勤めていると、何故かこうした事実を隠したがる人が多いのに驚きます。
今回は自身の経験を踏まえて、そんなエピソードなどを紹介したいと思います。
有給をとっているだけなのに…
以前、同僚が有給を取得していた日に、その同僚宛に外部の業者から電話がかかってきたことがありました。
私はその際「申し訳ありませんが、本日はお休みを頂戴しております。ご用件は何でしょうか?」と返答したのですが、それを聞いていた上司から後で呼び出され、こう言われたのです。
上司「ああいうときは、次からは出張していると言え」
私 「なぜです?」
上司「大学職員は休みまくってると思われると癪だろう?」
私 「はぁ、わかりました」
私としては、他社に電話して担当者がお休みを頂戴しております~と聞くことはよくありましたし、出張だったら至急の要件だから出先からかけなおして欲しいといった要求があるかもしれません。それで休みの人へ連絡することは憚られます、というより、それで上司などから連絡すれば、厳密にいえば業務扱いとなってしまうような気もします。
そして、当然の権利である有給取得にどうしてそこまで卑屈にならなければならないのか理解に苦しみつつも、そこまで貫きたい意見でもなかったので、上司の見栄に付き合うこととなりました。
その上司は“新人たるもの始業時間の1時間前には来て先輩の机を拭く気概が必要”とか言っちゃうような人でしたので、大学職員というよりもパーソナリティな気もしますが、外部からの評価に過敏になっている方が多いのは確かだと思います。
長期休暇をとるのが恥ずかしい!?
今回大学職員の夏期休暇を調べていたときに面白いケースが多々見られました。それは、夏期休暇のアナウンスの仕方に大学(もしかしたら広報担当者)のカラーが出ている、ということです。
多くの大学は「以下の期間は大学の事務室は閉鎖となります。ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」といった文章とともに、閉鎖期間と緊急連絡先などが記載されているのですが、この記載方法がセコイところがあるのです。
事例その1:少しでも休みを短くしようと見せる
今年の大学職員の夏期休暇は8月11日(土)~8月19日(日)までの9連休の大学が最も多かったのですが、「8月13日~8月17日は夏期休暇期間となります」と記載する大学が結構ありました。実際は前後の土日が休みで9連休なのですが、少しでも短く見せようという見栄からこのような表記をしているのだと思います。ひどいところでは、「8月13日~15日は夏期休暇期間となります」と書いておいて、下に「なお、8月16日と8月17日は祝日の振替休日となります」としているケースも…。
確かに“夏期休暇”という休みは大学で明確に定めているのでしょうが、外から見たらどうでもいいですし、きちんとやってない期間を書いてくれる方が親切だと思います。
事例その2:省エネを理由にする
夏期休暇のアナウンスと共に、その理由を書くところもあるのですが、「職員の心身の健康を図るため」とストレートに書いているところもある一方で、大多数の大学が挙げていた理由は「省エネ」です。
これも長期間休む“後ろめたさ”から理由をつけたのでしょうが、一企業の1週間かそこらの消費電力なんてたかが知れてますし、マクロ的な視点でみたら、そもそも職場でまとめて空調使った方が各自が家で別個につけるより省エネな気もしますし、意味不明な理由です。
事例その3:休暇期間を公表しないor期間が終わったらお知らせを消去する
小細工をするところはまだかわいいのですが、大学によっては休暇期間を“公表しない”という達悪いところがあります。企業として、業務を行わない期間があるのであればそれを公表することは絶対必要だと思いますが、身内である学生が見るところだけに記載して、第三者がみるHPのお知らせなどには掲載しない、というところがそこそこあったのが驚きでした。
他にも検索ではヒットするのにクリックすると消されている、というケースもありました。過去のお知らせは全て消えていくのならまだ分かりますが、消してるところはアーカイブから休暇期間のお知らせだけ削除していたようです。これも、潔さがないですよね。
給与は少な目に申告
大学職員は、他企業と違って一般職と総合職といった職種の違いで採用しているケースはあまりありません。なので、銀行などで顕著な「女性は一般職としての採用が多く、給与は総合職より低め」といった差が、大学にはありません。したがって女性は同年代の女性よりも高い給与をもらっているケースが多いようで、私の周りで聞いた話では、友達などとの会話でお金の話が出たときは「税引き後の手取り金額をさも支給額のように話す」や「給与天引きされている積立貯金を引いた後の金額を支給額のように話す」といった対応をしている人もいました。
確かに給与額って赤裸々に公表はしたくないものですが、たくさんもらってるよーと言いにくいのが日本なのかもしれませんね。
ブラック企業振りはみんな仕切りに話したがるのに、ホワイト企業振りはどうしてこうも喋っちゃダメな空気が醸成されてるんでしょうか、ほんと謎ですよね。
私の愛書である「嫌われる勇気」によると、他人との関係を縦で見る限り、すべての人がライバルとなって他人の幸せや成功を心から喜べないのだそうです。他者のことを“同じではないけど対等”、という横の関係で見れるようになれば心から喜べるよるになるとのことですが、自分はその境地に達していても、多くの人は縦の関係で人を見ますから、相手の嫌がりそうなことを避けるという意味で、結局自らの幸せについて話しにくいことは変わらないのかもしれません。
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