私大職員の待遇を調べてみた:慶応義塾大学 編

いわずと知れた私学の雄、慶應義塾大学について調べてみました。
大学職員は研修で他大学の職員と関わる機会も多いですが、慶應の方は“慶應さんは(この大学間競争に)関係ないですもんね~”という感じで、特別扱いされているのをよくみます。

それだけ同業者からも別格な大学と目されている慶應義塾大学ですが、職員の待遇はどの程度なのでしょうか。

 

 

独断と偏見による総合評価

休日 給与水準 将来性 総合評価
A

・×は1点、△は2点、○は3点、◎は4点。
・合計11-12点→S評価、9-10点→A評価、7-8点→B評価、5-6点→C評価、3-4点→D評価。
・その他様々な理由で増減あり。

以下で詳しく見ていきます。

 

基本データ

大学名 慶應義塾大学
大学公式HP https://www.keio.ac.jp/ja/
学部学生数 28,712人(男18,180・女10,532)
専任教職員数 3,690人(教員1,346・職員2,343)
ST比・SA比 ST比 1:26 SA比 1:23
人件費率 45.1%
資産額 約4,300億円(内、流動資産465億円、特定資産1,354億円)
負債額 約1,058億円(内、借入金等128億円)
寄付金等収入額 約35億5,329万円
私立大学等経常費補助金額 約90億3,457万円

・慶應義塾大学ホームページ「情報公開」より。(2018年5月1日時点)
・寄付金額は2017年度事業活動収支計算書より大学部門のみ抜粋。
・私立大学等経常費補助金額は私学事業団ホームページより。(平成29年度分)
・職員数には看護師1,101名が含まれています。SA比計算ではこの人数を除いています。

 

職員待遇に関するデータ

年間休日日数(推定) 130日程度(土曜祝+季節特別休暇 ※2017年度は9日)
勤務時間 8:30-17:00(週実働37.5時間)
22歳(学部新卒)年収 約400万円~(月給21万5,000円、賞与6.4ヵ月程度)
24歳(修士新卒)年収 約410万円~(月給22万3,200円、賞与6.4ヵ月程度)
25歳(修士)年収 約430万円~(月給23万2,400円、賞与6.4ヵ月程度)
30歳(修士)年収 約640万円~(月給34万5,800円、賞与6.4ヵ月程度)
35歳モデル年収 約830万円
45歳モデル年収 約920万円
退職金情報 35年勤務で57ヵ月(退職時本俸60万で3,420万)

・慶應義塾大学ホームページ「教職員採用ページ」、各組合データより。
24歳→25歳の昇給ペース(9,200円)でいけば、30歳では28万程度になるはずですが、月給が大きく増えているのは、資格手当や家族扶養手当を含んだ例になっているからかもしれません。
・2012年度より新人事給与制度が導入されているようです。(35歳、45歳時点年収はこれ以前のデータです)

 

競争力に関するデータ

偏差値 83~68
入学定員充足率 100.8
収容定員充足率 109.7
退学率 9.2%~1.9%
就職率 83.3%(就職4,566人/(卒業6,572人-進学1,088人)
有名企業就職率 46.5%(全体3位・私学1位)

・偏差値は進研模試ホームページより。
・入学定員および収容定員充足率、就職率は慶應塾大学ホームページ「情報公開」より。
・退学率は読売教育ネットワーク「大学の実力」より。(学部単位)
・有名企業就職率は大学通信「「有名企業への就職率が高い大学」トップ200」より。

 

コメント

人件費率、ST比も低めな上に、寄付金収入も私立トップレベルとまさに優等生にふさわしい数値が並んでいます。平成29年度交付の私立大学等経常費補助金は全国3位と高いですが、極端に給与水準が低いわけではなく、学生規模が多く研究水準が高いことが要因かと思われます。

基本給と賞与について

給与面ではもともとMARCHなどに比べてやや劣る水準だったようですが、2012年度に更に減額がなされたようです。具体的には、住宅・技能手当の廃止、45歳以降の定期昇給の停止(これは後に55歳まで年400円昇給に変更)、賞与支給に評価率(+0.1ヵ月~-0.1ヵ月)の追加、などです(組合資料)。

定期昇給の停止があるということは、年齢給+職能給のような形をとっているものと思われ、以降は役職等がつけば給与がアップしていく仕組みなのではないかと思います。

ただし、口コミサイトでは上記の金額より極端に低い金額を投稿している人は見受けられず、変更はされたものの、極端に減らされてはいないのではないかと思います(賞与支給の評価率からして、シャープの1ヵ月~8ヶ月に比べると雲泥の差ですよね…笑)。

将来性・その他について

大学の将来性については全く問題ないと思います。OB組織三田会は最も強い学閥と呼ばれていますから、社会的評価も自ずと高い位置をキープし続けるでしょう。有名企業就職率がそれを物語っています。

近年、地方学生獲得のために奨学金を充実させているようですが、これは学生確保ではなく、ダイバーシティ確保の色合いの方が強いです。受験生獲得の悩みが他大学とは次元が違います。

その他特徴的だったのは、創立記念日以外に、福沢諭吉の誕生日も休日にしている、という点でした。愛されている証拠だと思います。あとは、財務諸表の中に退職手当だけでなく、年金の引当金があることです。大学によっては企業年金的なものがあるとは聞きましたが、慶應にもある(あった)のかもしれませんね。

 

やや気になるのは、組合はあるもののその力があまり強くないという情報があることです。組合が弱いと待遇カットが断行されやすく、2012年の給与改定もそうした風土からなのかなと思います。また、キャンパスは関東圏に点在しているものの複数あり、異動によって勤務地が変更になる可能性があることもネックの一つです。

以上の事から、本来S評価でもおかしくない慶應ですが、一つ落としたA評価としました。

 

*上記評価等は個人的価値観に基づく評価付けであり、大学自体の優劣を論じるものではありません。

 

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