不祥事のあった大学への就職は考え直すべきなのか~ポイントは実績の貯金~

残念ながら、定期的に大学は不祥事を起こします。最近では、日本大学のパワハラ問題が記憶に新しいですね。企業と違い、大学は教員・職員・学生、そして今回日本大学で問題となったOBや外部顧問など、多種多様な人が自由に活動する場ですので、問題が起こりやすい土壌があると思います。

ところで、このような不祥事を引き起こした大学への就職を検討していた方からすれば、すこし応募を躊躇してしまいますよね。今回は、こうした大学への就職することの是非について考えてみました。

 

 

大学の多様性が問題を希薄化させてしまう

冒頭述べた通り、大学は多様性に満ちています。そしてそれが、あらゆる不祥事について、責任の所在を曖昧にさせ、問題の風化を加速させていると思います。

日本大学を例にあげると、体育会のアメリカンフットボール部がクローズアップされていますが、いくらスポーツに力をいれていても、上下関係を嫌う現代の風潮から、体育会に所属する学生はそんなに多くありません。私の大学では1割強といったところで、さらにここから特定のクラブとなると、全学生の1%にも満たないのではないでしょうか。

さらに、企業を社長を頂点とする社会主義国家とするならば、大学は教員・職員・学生という三権分立が働く民主主義国家のようなものです。教職員はかなり近い位置にあるとはいえ独立していますし、学生は言わずもがな、です。そんな風に一枚岩ではない大学ですから、何か問題が起きても、他の人間は関係ないというスタンスをとります。

このような事情があり、周りもそれを薄々理解しているので、例えば日本大学の学生は就職活動においても、日本大学の不祥事対応について責められることはないでしょうし、同じ学生でも、全く関係のないクラブの学生が起こしたことを責められることもないでしょう。意見を求められることはあるかもしれませんけどね。

不祥事を起こしたのが教職員であれば、社会との接点の大半は卒業生であることから、学生・卒業生も風評被害に遭う被害者であると周りを寛容にさせ、同じ学生の不祥事でも、大規模の大学であればあるほど、関係ない人間が起こしたことであると周りも理解するため、問題が限定的になる傾向があるのではないでしょうか。

したがって、不祥事によって一時の社会的信頼を損ねたとしても、企業よりもそれを回復する速度が速いというのがあると思います。

 

実績の貯金>不祥事となるケースが大半

過去に不祥事を起こした多くの大学では、直後はそのまま志願者が激減して潰れるという過激な意見が聞かれますが、実際そのようなケースは聞いたことがありません。確かに直後の志願者数への影響はあるかもしれませんが、そうして入試の倍率が下がれば、翌年は途端にお買い得物件として人気になる傾向があるくらいです。

これは不祥事で傷ついたイメージよりも、その大学がこれまで培ってきた実績が評価されている証左です。歴史のある大学、規模の大きい大学ほど、卒業生を世に多く送り出しており、社会的評価を得ていることが多いです。研究業績や社会貢献の有無ももちろんあるでしょう。

こうした“実績の貯金”があればあるほど、不祥事があったとしても、それを評価する人が必ず出てくるので、立ち直りやすいのです。これまで誰もがうらやむ就職先で高い給料を得ていた人が、失職したり転職して収入が激減したりステータスを失ったとしても、多額の貯金があれば「私が支えてあげる」という計算高い人が絶対にいる、ということです。

シャープや東芝が危機に陥った際にも、応募者は減れど必ずこうした人々が出てきたように、大学でも志願者がいなくなるということはありません。

 

就職先としての大学選びは実績を確認しよう

このように、不祥事が起きたとしても実績のある大学は必ず立ち直ってくると思います。日本大学は卒業生も、また社長の数も日本一ですから、今年度の入試で苦戦したとしてもいずれ回復してくると思います。むしろ、そのことによって職員採用の倍率が下がるのであれば、チャンスといえるかもしれません。自大学出身者であれば、母校を救いたい!という正義感溢れる履歴書も書きやすいですしね。

現在不祥事を起こしていない大学についても、不祥事はいつ起きるとも限りません。そうしたとき、立て直しが可能な実績の貯金があるかどうか、今一度チェックしてみるといいかもしれません。チェックの視点は、自分が受験生なら入学するかどうか、です。

いずれにせよ、TAKATAのように不祥事一つで会社がふっとぶということはまずない業界です。きちんとその大学の価値を見定めて就職先選びをしてみてください。

 

<注記>

ここまで述べた内容は不祥事を気にしない、という内容にとらえられるかもしれませんが、決してそうではありません。不祥事は起こしてはならないものであり、起こした場合は被害者へ真摯に謝罪のうえ、原因を突き止め、再発防止に努めることはいうまでもありません。

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